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一番大事なんは、 建築家でも工務店でも、あらへん

「ねえねえ、この前テレビで紹介していた、大評判のレストランに行ってみない?」と誘われて行くお店は、ほぼ間違いなく、美味しくて満足できる。
しかし、テレビに登場していた人気建築家が設計した住宅がカッコ良かったからという理由で設計の依頼先を選ぶと、ほぼ間違いなく、大失敗になる。
それが家づくりの難しさだ。
ほとんどの人にとって、家づくりは初めてなので、家に対する自分の価値観が定まっておらず、また、その好みは複雑で、個人差も大きい。しかも、とても高額。だから、普通のモノやサービスを購入する買い物とは全く違う。
家づくりは、人生を左右する一大事という点では、むしろ、結婚や就職に似ている。しかも、失敗が許されない点では、就職や結婚よりも、もっと厳しいことである。就職に失敗したら転職すればいい。結婚に失敗したら離婚すればいい。しかし、家づくりに失敗したら、それは長年月にわたって日々の生活を蝕まれることになるか、大きな経済的な負担を被ることになる。家は形として存続するものだけに、失敗した時の痛手は、離婚や失業よりも大きい。(かもしれない。)

なのに、多くの人は、無謀にも、ほとんど知識や勘を身につけないままに、家づくりを始めようとする。そのために、最初は自分が中心のつもりでいても、よくわからないことが多いがゆえに、ついつい重要な決断を設計者や工事会社に委ねてしまう。その結果として、家の完成後に待っているのは、家に対するおおいなる不満である。その時、それは業者が悪いだけでなく、自分にも責任があるということに気付かない人は、更に不幸になる。

家づくりは、専門家まかせにしてはいけない。建築についてのある程度の基本知識を身につけたうえで、重要なことはすべて自分自身で決断する覚悟をもって、家づくりをはじめよう。
建築家も工務店も、家づくりサポート機関も、もちろんプロとして、建主のために一所懸命に仕事をしてくれるはず。でも、それは、所詮は、人の家をつくる手伝いをやっているに過ぎない。
素晴らしい家ができていちばん幸せになるのも、逆に、とんでもない家になって、ずっと嫌な気持ちで暮らすようになってしまうのも、そこに住まうあなた自身に他ならないのだから。

川島天晴

出典

土地探しから始める理想の家づくり
  • 『土地探しから始める理想の家づくり』
  • 発行 主婦と生活社
  • 発行年 2010年
  • 定価 1400円
一番大事なんは、 建築家でも工務店でも、あらへん